2023/02/16

風呂に入りながらスマホのAbemaアプリでアーセナルマンチェスターシティの試合をみていたら朝になっていた。サッカーをやっていたわけではないので戦術的なこととか、ピッチ内で起きていることとかの解像度はあまり高くないのだけどサッカーの試合を見るのは好きだ。Twitterでサッカーに詳しい人たちを何人かフォローしているので、その人たちのツイートを見て、この場面はこうやって解釈することができるのね〜と感心しながら試合をぼんやりと眺めていることが多い。1位と2位につける強豪同士の試合とあって、この試合は見ていてとても面白かった。アーセナルに加入したばかりのジョルジーニョが、新加入とは思えないほどにピッチ内の主役だったこと、ハーランドがこんなに大事な試合でもいつも通りの理不尽さを発揮していたことが特に印象的だった。

冬の休日は外出する気力がないことが多いので今日も1日中眠っているつもりで朝方に布団に入った。本当は映画館とか行きたいし、好きな蕎麦屋にも行きたいのだけど、外に出て冷たい空気に包まれることや、雨やら雪やらで靴の中が濡れることを想像するだけで外に出るのが億劫になる。だって布団はいつだってわたしを暖かく包んでくれるので。。。そうやって布団にくるまりながらスマホを眺めて、お客さんが来ないと嘆くお店のツイートを見てごめんねと思ったり、友人が楽しそうに過ごしている様子をインスタで見て楽しそう〜〜って思ったりする。そうしているとまた何度目かの眠りに入って気付けば外が真っ暗で、時計を見ると夕方の6時だったり夜の9時だったりする。それが冬のわたしの普通の休日。

濱口竜介監督の『偶然と想像』のパンフレットで何度か言及されていたのを読んでから、エリック・ロメールに興味がある。最近また映画をみる体力が戻ってきたこと、ありがたいことにプライムビデオでロメール作品が沢山無料配信されていることもあって、時々中断も挟みながら少しずつ映画をみている。先週は『友だちの恋人』を、今週は『木と市長と文化会館/または七つの偶然』をみた。わたしはフランス語が全くわからないうえに、ロメール作品はセリフが多いので、ほとんど字幕を読んでいるみたいな鑑賞体験になるのだけど、それでも面白いなあと思う。時々字幕を無視してながれる映像をぼんやり眺めているだけでも面白い。なんなんだろなこれ。『偶然と想像』のパンフレットにロメール作品は演者同士の仲が良さそうな、親しみのこもった距離感が伝わってくるのが良いという記述があった気がするのだけど、その感じも確かになんとなく伝わってくる。演者たちが楽しそうにしている映画やドラマって確かに良いよなあと思う。

似たようなことを祖父が毎朝眺めている、BSで再放送されている時代劇にも感じる。在りし日の四代目中村梅之助演じる伝七という名の岡っ引きが数々の事件を解決する『伝七捕物帳』がそれなのだけど、このドラマの各話はいつもお決まりの形でエンディングへと向かう。伝七の「さあ、締めようか」の掛け声のあと、画面の中で役者たちが集まって、自らの前に手をかざし、「ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨヨヨイヨイ」の掛け声に合わせてかざした手の親指と人差し指をくっつけたり離したりする動作を繰り返す。その後ににこやかな声で「めでてえな」と言う伝七の穏やかな顔のクローズアップで本編が終わる。この瞬間の役者たちがなんかいつも、本当に楽しそうで、生き生きとしていて、その中心にいる中村梅之助のように今はもうこの世にいない人もその中にいるのだという事実が信じられなくなる。若々しく、溌剌としていた時の楽しそうな瞬間が残っている、そのことをなんとなく素敵だと思う。

さっき淹れたコーヒーを飲みつつこの日記を書いている。ちょうど手持ちのコーヒー豆が終わるというときで、最後に残っていた、いつもより多めの粉をドリッパーに入れたら、注いだお湯が溢れ出してしまった。冬場は自分でコーヒー豆を焙煎するのはお休みしているので、この豆は下北沢のモルティブで買ったもの。またどこかで豆を調達しなければ。